本専攻について
宇宙に関する近年の多くの発見は、従来の物理学、天文学、惑星科学、地球科学の枠を越えた、新たなパラダイム、新たな学問、そして新たな世界観の形成を促している。今世紀、物質の最小の要素による宇宙における最大の構造の形成、宇宙の諸々の構造形成や物質の進化・循環、これらが織りなす広範な世界が有機的かつ総合的に解明されようとしている。
北海道大学では、素粒子・原子核から惑星と地球を含む天体と宇宙までにわたる自然の諸階層における現象、宇宙における構造形成と物質進化ならびに循環、それらを支配する基本法則についての探求とそれらの教育研究の蓄積がさまざまな専門を持った人々によってなされてきた。
2006年度から新たに発足した本専攻は、物理学、天文学、惑星科学および地球科学にわたる教育研究を有機的に結合し、観測・実験・理論を三位一体とした基礎理学の教育研究を行うことを目的としている。また、21世紀における人類の知的活動の発展に貢献するとともに、高度な基礎知識をもち社会の広範な分野で活躍できる人材の育成を目指す。
北大の11m電波望遠鏡、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡、ハワイ観測所のすばる光/赤外線望遠鏡、国内の超長基線電波干渉計観測網などを用いて、銀河・銀河系の構造、星間ガスの性質と星生成活動、活動銀河核などの観測的な研究を行う。
素粒子・原子核・宇宙物理学講座
宇宙を構成する究極の構成要素である素粒子及び原子核の関連する諸現象、及び宇宙の起源とその構成物質の探求、更には宇宙を支配する基本法則の統一的理解を目指し、これ等の諸現象とそれらを支配する基本法則を学ぶ。
宇宙惑星科学講座
宇宙の起源から地球や惑星の形成や構造、 生命の誕生に至る物質進化・構造形成の歴史とその基盤となる基礎理学および基礎実験を学び、 様々な素過程が絡み合う自然現象を支配する基本法則を帰納・演繹する能力を養う。
宇宙物質科学・相転移ダイナミクス講座
宇宙の極低温領域(星間分子雲)における分子や有機物質の形成メカニズムを原子レベルの実験から解明する。また、地球・惑星圏で最も普遍的な物質である氷の相転移ダイナミクスに関する実験的研究を行う。